大きな1番、ひたちに住みたいと思える海エリアの魅力向上について。
毎年2,000人を超える人口減少が続いている本市において、その要因の一つである転出の状況を見ると、20歳から39歳の若年層が全体の65%を占めています。また、本市の
窓口アンケートの結果から、
子育て世代の転出理由の上位には住宅の新築・購入があり全体の約3分の1を占めていて、同じ理由で転入する者の割合の約2倍となっており、
子育て世帯は住居事情を理由に転出している例が多いという状況です。
市民ニーズ調査からも、若い世代ほど日立市が住みにくいと感じている割合が多く、その理由の一つとして、「娯楽の場が少ない」と感じている人が約66%と高く、市外へ転出してしまう一因とも考えられます。これらのことからも、結婚や出産などを控え、引っ越しを検討し始める
子育て世代に本市の豊かな自然をより身近に感じてもらうことが、その後の居住環境、
子育て環境を考える上で日立市を選ぶ重要な項目になることと思います。
中でも、風光明媚な海岸線や
ダブルA評価の六つの海水浴場、インターネットの
釣り場情報サイトでも多くの
釣り場ポイントが紹介されるなど、多様な観光資源を有する日立の海は、他に誇れる貴重な地域資源でありながら、居住地の近くに存在するその潜在力はまだまだ活用し切れていません。
そこで、海のまち日立に住みたいと思えるような魅力のある海エリアとなるよう、
レジャー施設の充実や既存の観光資源の連携、
にぎわい創出施策などの取組を進めることで、今住んでいる市民は、居住環境や
子育て環境の優位性や
ふるさと日立への誇りをこれまで以上に感じ、市内外の若い世代がその魅力や価値を再認識することで、定住・移住の促進につなげられると考えることから、以下、質問いたします。
(1)
複合レジャー施設整備について。
ア、
伊師浜海岸周辺への
複合レジャー施設の整備についてであります。
市政概要によりますと、平成30年の
伊師浜海水浴場入込客数は1万8,541人で、市内の海水浴場の中では、
東日本大震災後において最も回復率が高いものの、いまだに約55%であり、まだまだ震災前の状況までには至っておりません。今シーズンは天候不順の影響で入込総数は伸びなかったものの、
巨大エアー遊具も設置され、家族連れの海水浴客からの評判も上々であったと聞いております。こうした施策により、日立の海の魅力度が少しずつ回復していく中で、年間を通じて海を身近に感じられる複合的な
レジャー施設の整備が必要と考えます。
中でも、
伊師浜海岸は、「快水浴場百選」にも認定された人気の海水浴場であります。
海水浴シーズン以外でもサーフィンや釣り、また白い砂浜を愛犬と一緒に歩いたり、美しい景色を写真に収めたり、夕暮れの空ときれいな海岸をのんびりと眺めるなど、いろいろな楽しみ方ができる海岸でもあります。さらには、
日帰り天然温泉施設や
物産センターも隣接しており、
複合レジャースポットとしての潜在力の高いエリアでありますが、これらの観光資源の連携を強くする施策が不足しております。
そこで、
アウトドアブームでもある近年、海の魅力を存分に味わえるよう、このエリアにおいて、日立市にはない
バーベキュー施設も備えた海辺の
キャンプ場を整備し、さらにはエリアの総合的な情報発信をすることを提案いたします。海辺の
キャンプ場については、海水浴場の周辺で
バーベキューも楽しむことができれば、更なる
集客力アップはもちろん、
ハイシーズン以外でも大人のソロキャンプや
春秋キャンプなど年間を通して様々な楽しみ方ができる魅力的な
海岸エリアになると思います。さらに、
物産センターで新鮮な野菜だけではなく、
地元水産物なども
キャンプ場での
バーベキュー食材として提供することは、日立市
総合計画後期基本計画でも重点項目としている
地元水産物の普及促進にもつながります。
また、総合的な情報発信については、釣りや
サーフィン情報、全国唯一の
ウミウ捕獲場や海岸線の風景を動画で紹介するモニターを設置することで、既存の観光資源をいかした
複合レジャーエリアとして、市民も改めてその隠れた魅力を再認識できるようになり、市外から訪れた方に対してもエリアの総合的なPRになるのではないでしょうか。執行部の見解をお伺いいたします。
次に、イ、道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についてであります。
道の駅日立お
さかなセンター周辺は、
久慈サンピア日立や
久慈サンピア日立スポーツセンター、
なぎさ公園や多数の
釣りスポットなどもあり多様な楽しみ方ができるエリアですが、
ランドマークがないため、
レジャーエリアの存在感を示すインパクトに欠けます。一体的な
観光エリアとしての魅力向上の必要性は、私も議員になる前から市民目線で感じていたことであり、多くの方からも同様の意見・要望を聞いております。
日立港区周辺地域の
観光エリアとしての整備については、これまでも
民主クラブよりペデストリアンデッキの設置や展望台の整備などの提案をしておりますが、財源確保の問題や
港湾管理者である茨城県との協議が必要であり、その効果は認識しつつも、ハードルの高い案件であるとのことでした。
また、道の駅日立お
さかなセンターの再整備については、日立市
総合計画後期基本計画や第3次日立市
観光物産振興計画でも重点施策に位置付けられており、今後検討が進められていくと思いますが、
レジャーエリアとしての魅力向上に主眼を置いた
具体的構想を検討する必要があるものと考えます。
そこで、道の駅日立お
さかなセンターに隣接する
日立港都市再開発用地を活用して、大人も子供も楽しめる
ランドマーク的な遊具施設の設置が必要と考えます。子供向けには
東滑川ヒカリモ公園のような大型遊具、大人向けには10メートル級の高さの専用のハーネスを着用するような
空中アスレチックで、展望台も設けて、景色を見ながらアクティビティにチャレンジできる日立港区
周辺地域レジャーエリアの
ランドマークとしての存在にもなる大型遊具を設置し、さらには、その
大型遊具周辺に、遊んでいる子供たちを見守ったり、お弁当を広げることができたり、また一画には、
バーベキュー設備のある
屋根付き休憩所の整備を提案いたします。これにより、道の駅日立お
さかなセンターに立ち寄るだけではなく、
久慈サンピア日立スポーツセンターでテニスを楽しんだ後にグループで
バーベキューを楽しんだり、
なぎさ公園で遊んだファミリーを誘導したりなど、既存の施設との相乗効果が図れると考えます。これらの
具体的構想で、本市の南の玄関口である日立港区
周辺エリアを、道の駅日立お
さかなセンターを中心としたグルメ、お土産どころ、スポーツ、レジャー、
日帰り温泉や宿泊もできる、大人も子供も楽しめる
複合レジャーエリアにすることができるのではないでしょうか。執行部の見解をお伺いいたします。
続きまして、(2)
にぎわい創出と魅力向上について。
ア、住んでみたくなる海岸線の
雰囲気づくりについてであります。
おしゃれな
雰囲気づくりで日立の海のイメージアップを図ることにより、地域資源と居住、
子育て環境の優位性が感じられ、若年層や
子育て世代の定住・移住の促進につながります。
笹川スポーツ財団の
スポーツライフに関する
調査報告書によると、全国での
ウオーキング実施者は、この20年間で倍増しており、また、
ジョギング実施推計人口964万人のうち、最も実施率が高いのが20代から30代という調査結果も出ています。私自身も
健康づくりの一環で時々
ジョギングをしますが、海沿いのコースは、その気持ちのよさから積極的に選びたいルートでもありますし、
さくらロードレースでも国道6
号日立バイパスがコースになっているように、
ジョギングなどをする人にとって身近にある海辺のコースはとても魅力を感じます。
昨年、市議会にて、「住みたいまち」、「住み続けたいまち」の実現についてまとめられた政策提言書である「ひたち 住 スタイル」でも、海辺の景観を引き立たせるために、ヤシの木などの樹木を海岸線に連続して植栽するなどの提言がされています。そうした景観のよい
市内海岸線を整備し、そこにできる限り連続した魅力ある海辺の
ウオーキングロードを設けることにより、市内外の
ジョギング・
ウオーキング実施層へのPR効果も高く、日立の海の住んでみたくなる雰囲気を
シティプロモーションとして、動画や各種媒体を活用しアピールすることが重要と考え、提案いたします。執行部の見解をお伺いいたします。
次に、イ、
浜の宮ロードパークの活用についてであります。
国道6
号日立バイパスは、一般道としては全国でも珍しい海上を走る
シーサイドロードであり、特に
休憩ポイントである
浜の宮ロードパークは、波と潮風を感じながら太平洋を一望できる素晴らしい眺望で、
日の出スポットの名所であるものの、その
潜在的可能性を活用し切れていません。そこで、単なる
休憩ポイントではなく、積極的に国道6
号日立バイパスを経由したくなる、あるいは目的地にさえなるお出掛けスポットとして更なるにぎわいを創出するために、
ロードパーク内の一画への
移動販売車の誘致について提案いたします。
当然のことながら国が管理する国道であり、国などとの協議が必要で、ハードルの高い案件であるとは思いますが、出店者が個別に
移動販売車の設置許可を取ったり、常時設置は困難であると伺っていますので、行政が一時的な
占有許可申請などを行い、例えば毎月第2日曜日のみなど、定期かつ限定的に開催する「
日立浜の宮B級グルメデイ」などと称してイベントを市が企画・主催し、そこに
移動販売車を誘致するなどの方法でにぎわいの創出を図ることは可能ではないでしょうか。さらには、訪れた人たちに、日立の
パワースポット巡りや山からの美しい
ビューポイントなど、「日の立ち昇るところ領内一」を直に感じられる日立の
おすすめドライブコースなどを紹介する、行ってみたくなるような
観光案内板の設置についても、併せて提案いたします。
大きな1番の質問は以上です。執行部の見解をお伺いいたします。
4 ◯議長(茅根茂彦君) 助川議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
5
◯産業経済部長(岡見安美君) ◇登壇◇ 助川議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、ひたちに住みたいと思える海エリアの魅力向上についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)
複合レジャー施設整備についてでございます。
まず、アの
伊師浜海岸周辺への
複合レジャー施設の整備についてでございますが、
伊師浜海岸は、日本の白砂青松100選にも選定されており、白く続く砂浜から20メートルを超える断崖絶壁へと変化に富んだ景観が魅力となっております。
伊師浜海岸周辺には、
宿泊利用率30年連続日本一の国民宿舎「鵜の岬」、全国各地の鵜飼地にウミウを供給するための日本で唯一の捕獲場といった、全国に誇れるオンリーワン・ナンバーワンの地域資源のほか、
日帰り温泉の「鵜来来の湯十王」、
十王物産センター「鵜喜鵜喜」などがあり、これらが位置する
伊師浜国民休養地には年間約30万人の観光客が来訪しており、
本市北部地区の
観光交流拠点となっております。
議員御提案の、既存の観光資源を活用した
複合レジャー施設として、
伊師浜海岸周辺に
バーベキュー施設も備えた海辺の
キャンプ場を整備し、併せて
十王物産センター「鵜喜鵜喜」で
バーベキュー食材として水産物を提供することにつきましては、年間を通じて海を楽しむ機会の提供や周辺地域の更なる地域資源の活用が図られ、また、地元の豊かな水産物の普及につながることも考えられますが、土地の確保や周辺環境への影響などの課題や
民間事業者の経営に関わる内容も含まれますことから、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
また、モニターを設置することにより、エリアの総合的な情報発信をすることにつきましては、本年3月に策定いたしました第3次日立市
観光物産振興計画におきまして、積極的な
シティプロモーションの推進を図ることとしておりますことから、より効果的な情報発信の方法について、議員御提案のモニターの設置を含め検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、イの道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についてでございます。
道の駅日立お
さかなセンターは、県内の道の駅の中では唯一海を身近に感じられる場所にあり、水産物や水産加工品を中心に野菜直売店や飲食店など10店舗が出店し、年間60万人台後半の観光客が訪れており、周辺の
久慈サンピア日立と
スポーツセンター、
なぎさ公園を含めた一帯のエリアは、
本市南部地区の
観光交流拠点となっております。
道の駅日立お
さかなセンターにつきましては、施設の老朽化や分散化などの課題があることから、平成29年3月に策定いたしました
後期基本計画の
重点プロジェクトに道の駅再
整備検討事業を位置付け、新たな地域連携・交流施設の整備に向けた検討を進めることとし、
庁内関係課による現状分析や課題の洗い出し、先進事例の調査や情報収集など、一体的な
観光エリアとしての魅力を高める整備について検討を行っておりますことから、議員御提案の、道の駅日立お
さかなセンターに隣接する
日立港都市再開発用地へ、
ランドマークとなるような子供から大人まで楽しむことができる大型遊具、
アスレチックの設置や
バーベキューもできる休憩施設の整備につきましても、一体的な整備についての基本的な方向性の議論の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、(2)
にぎわい創出と魅力向上についてでございます。
まず、アの住んでみたくなる海岸線の
雰囲気づくりについてでございますが、本市の33キロメートルに及ぶ海岸線は、県内の海水浴場の中でもきれいな水質を誇る六つの海水浴場が位置するなど、本市を代表する観光資源となっております。
議員御提案の、ヤシの木の植栽など景観の良い
市内海岸線を整備し、できる限り連続した魅力ある海辺の
ウオーキングロードを設けることにつきましては、第3次日立市
観光物産振興計画の主な施策に、年間を通した海の活用による
魅力づくりを位置付けておりますことから、住んでみたくなる雰囲気を動画でPRするなどの情報発信を含め、その施策の取組の中で検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、イの
浜の宮ロードパークの活用についてでございます。
国道6
号日立バイパス、
日立シーサイドロードにある
浜の宮ロードパークは、国により整備された休憩施設でありますが、太平洋を一望できる素晴らしい眺望から、本市の
観光スポットの一つとして多くの方が訪れ、特に
初日の出スポットとして人気が高くなっております。そのような魅力を持つ
浜の宮ロードパークの活用に当たりましては、議員御案内のとおり施設を所管する国等の許可が前提となりますことから、詳細な協議・調整を行うなど手続が必要となりますが、議員御提案の、市が企画・主催する
移動販売車を活用したイベントの実施につきましては、既存の観光資源の磨き上げによる新たな
魅力づくりにつながることが期待されますことから、実施の可能性を含め検討してまいりたいと考えております。
また、
パワースポットや山からの
ビューポイントなど、市内の観光資源や
ドライブコースを紹介する
観光案内板を設置することにつきましては、第3次日立市
観光物産振興計画におきまして、
市内周遊ルートの設定と情報発信に取り組むこととしており、その取組の中で併せて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
6 ◯6番(助川 悟君) ◇登壇◇ (1)
複合レジャー施設整備については、自然派志向のレジャーが注目されている中、海辺の
キャンプ場や
バーベキュー施設の整備は、日立が誇る自然の魅力を最大限に引き出し、
シティセールスができる絶好の施設になると思います。
モニター設置による動画でのPRについても、市外からの来場者だけでなく、身近な海の再認識により市民の郷土愛にもつながりますので、慎重な検討を要する課題ではありますが、市民が
シビックプライドを持てるようになるためにも、是非とも実現に向けての検討を要望いたします。
また、道の駅日立お
さかなセンター周辺の再整備についても、一体的な
観光エリアとしての魅力を高める検討を行っているとのことでした。執行部におかれましては、本市の南の玄関口であり、BRTの利用促進などにもつながる潜在力の高いこのエリアへの市民の期待は極めて大きいことも認識の上、
ランドマークの存在も含めた大胆な構想による再開発を要望いたします。
(2)
にぎわい創出と魅力向上については、魅力ある海辺の
ウオーキングロードの整備など、年間を通した海の活用による
魅力づくりの施策の中で検討するとのことでした。
人生100年時代を迎えようとする今、
高齢化社会に伴う健康志向や運動ができる環境への関心は高まり、
ウオーキングロードの整備はそのようなニーズにも合っており、さらに「海のまち日立」を印象付けるような海岸線の整備は本市の
魅力づくりに欠かせない施策です。是非実現に向けての検討を進めていただきたく、強く要望いたします。
また、
浜の宮ロードパークの活用については、
観光スポットとしての人気の高さから、新たな
魅力づくりにつながることを認識しつつも、
移動販売車の活用など、国等の許可が前提であるとのことでした。しかし、多くの方が
移動販売車を含め更なる活用を望んでおり、また、この人気のスポットに市内の
周遊ルートを紹介する
観光案内板もPR効果は高いと思います。
地方活性化のためには、地方からアクションを起こさなければなりません。執行部におかれましては、可能性を引き出すための方策を検討し、実現に向けて国などへの強い働き掛けをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
大きな2番、災害時の迅速な対応について。
国土交通省が提示する「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」によれば、日本がその脅威にさらされている自然災害のうち、地震・津波については、阪神・淡路大震災や
東日本大震災を教訓に、施設としての健全性を損なわない性能を求める等の耐震設計の導入や、防潮堤などの施設の整備による人命・財産等を守ることに加え、警戒・避難体制の確立などを組み合わせた多重防御の考え方が導入されています。一方で、近年の異常な気象状況により、全国各地で水害等による被害が発生しております。今後も
地球温暖化に伴う気候変動により、極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高いことも報告されております。
災害時や災害が発生するおそれがある場合、本人やその家族が自分の身は自分で守るという自助の考えを一人一人持つことが、被害を最小限に抑えるために最も基本的、かつ重要なことであります。しかし、国や県を上回るスピードで高齢化が進んでいる本市においては、自助の
基本的精神を踏まえつつも、
地域支援関係者などの共助がなければ災害を乗り切ることは困難です。
先月末の九州北部の記録的大雨は記憶に新しいところであり、
大雨特別警報が発令され、直ちに命を守るために最善を尽くす必要のある
警戒レベル5に相当するとのニュースでの報道シーンが強く印象に残っております。水害等による被災者からは、「今まで経験したことがない」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。これまで長く同じ地域に暮らしてきた経験から、この辺は大丈夫、我が家は安全との過信があり、高齢で長く住んでいる人ほど、そうした大丈夫だろうという
正常性バイアスが強く働くと言われております。早期の避難のためには、高齢者や障害者を始めとする、自ら避難することが困難な方に対する避難誘導や支援の必要性は明白であります。迅速な避難支援を実施するための要支援者の情報共有や民生委員、
地区コミュニティなどの地域連携も必要不可欠であります。そこで、避難行動要支援者の情報管理や避難を支援する側の
行動ルール及び迅速な避難支援のための近所の助け合いなどをいかすための方策として、以下質問いたします。
(1)避難行動要支援者の支援方策の充実について。
ア、統一名簿の作成についてであります。
本市において、65歳以上の
ひとり暮らしや要介護、身体・知的・精神障害、
緊急通報システム設置者などの避難行動要支援者は、平成31年4月1日現在で8,399人います。障害などがあっても家族同居であったり、
ひとり暮らしでも元気なため避難行動に問題はないなどの理由で登録しない方を除き、避難行動要
支援者名簿登録数は3,235人、避難行動要
支援者名簿以外にも、民生委員などが平常時でも見守りが必要な方を把握するあんしん・
安全ネットワーク、また、
ひとり暮らし高齢者基本台帳など様々な
アプローチでの名簿が存在しております。確かに避難行動要支援者の立場で考えると、二重三重の網を掛けてもらうことはより安心感につながることとは思います。しかし実質的に、各名簿の相互リンクやその管理で非効率的な部分が生じているのではないかと推測できます。そこで、各課や事務局など異なる
アプローチで得た情報をリアルタイムに共有ができ、情報管理や
業務効率化、把握漏れの防止のためにも、各名簿を一本化し、運用しやすい効率的な統一名簿として整備することを提案いたします。
次に、イ、
避難支援マップの策定についてであります。
避難勧告等に関するガイドラインにおいて、水害・土砂災害に関する避難情報は、
警戒レベル3が発令された際には、高齢者や障害のある方が避難を開始するレベルとなり、その前段階から近所同士の声掛けや
コミュニティとの協力・連携が、より迅速な避難行動につながることは言うまでもありません。しかし、どのようなタイミングで何をすればよいかなどの支援者の行動や、要支援者の居所を把握できるようなマップを自主的に作成し、
コミュニティ関係者で情報を共有する取組をしているのは、市内23地区のうち7地区の
コミュニティにとどまっている状況です。
また、今まで経験したことがない降雨量による水害が発生している近年、平成29年度に大幅に想定を見直して作成されたハザードマップ等に関する住民の認知率はまだまだ低く、多くの方は活用されていないのが現状です。
そこで、先ほど提案した統一名簿に基づき、要支援者の居所を支援レベルに応じて住宅地図に色分けした地域のマップを作成し、そのマップに水害・土砂災害などのハザードマップを重ね、リスク把握や避難優先度、避難支援範囲などをビジュアルで確認できる
避難支援マップの策定と、
コミュニティ及び支援関係者間でその情報を共有し、災害時の迅速な対応につなげるためにも、
避難支援マップを活用した地域の避難訓練の計画、実施を提案いたします。執行部の見解をお伺いいたします。
7 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ 私からは、質問の大きな2項目め、災害時の迅速な対応についての(1)避難行動要支援者の支援方策の充実についての御質問に、順次お答えいたします。
初めに、アの統一名簿の作成についてでございます。
本市におきましては、災害対策基本法に基づき、身体障害者手帳の1級・2級をお持ちの方や介護保険の要介護3以上の認定を受けている方など、災害時や災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な方を避難行動要支援者として把握し、このうち、「避難支援等を希望する」との申出があった方を避難行動要
支援者名簿により管理しております。
名簿の登録者の中には、地域包括支援センター等の職員が見守りなどの支援を行うための
ひとり暮らし高齢者基本台帳や、民生委員・児童委員、
コミュニティ関係者、近隣の協力者が日頃の見守り活動を行うため、市社会福祉協議会が行っておりますあんしん・
安全ネットワーク事業の対象者名簿にも併せて登録されている方もいらっしゃいます。これらの名簿につきましては、相互に関連性がございますことから、支援者にとっても、要支援者にとっても分かりやすく、関係者が運用しやすい効率的な名簿管理の仕組みを関係機関と連携して構築してまいりたいと考えております。
次に、イの
避難支援マップの策定についてでございます。
避難行動要
支援者名簿は、登録者の同意を得て、個人情報の保護に十分配慮しながら、
コミュニティ、民生委員・児童委員、市社会福祉協議会と共有を図っており、昨年1月には避難行動要
支援者名簿運用指針を策定し、支援体制の整備に努めているところでございます。
議員御提案の、避難行動要
支援者名簿等に基づき地域の
避難支援マップを作成し、支援者間で情報共有を図る取組につきましては、迅速な対応が求められる避難支援の実効性を高めるものと考えられますので、実施に向けて検討を進めてまいります。
また、
避難支援マップを活用するなど効果的な地域の避難訓練が実施できますよう、
地区コミュニティと調整を図ってまいりたいと考えております。
地震や台風等による自然災害の発生時等における避難行動要支援者の避難誘導につきましては、平常時からの顔の見える関係づくりなど、地域の防災力を高めておく必要があるものと認識しております。今後も、市報等による避難行動要
支援者名簿の周知及び対象者への登録勧奨を行うとともに、ご近所の助け合いなど共助の力をいかした地域での支援体制の更なる充実に努め、誰もが安全・安心に暮らせる環境づくりを推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
8 ◯6番(助川 悟君) ◇登壇◇ 統一名簿の作成については、複数ある名簿は相互に関連性があり、支援者や要支援者にとっても分かりやすく効率的な名簿管理の仕組みを構築するとのことでした。要支援者は体調や生活環境が短期間で変化することもあると考えられ、つい先日も、台風15号の影響で日立市において
警戒レベル3が発令されたところでもあり、災害はいつ発生するか分かりません。民生委員・児童委員、
コミュニティ関係者、近隣の協力者の日頃の見守り活動や、地域包括支援センターなどの職員の
ひとり暮らし高齢者の戸別訪問などで得られた情報を常に最新の状態で管理し、かつ、関係者が運用しやすい名簿管理となるよう早急な仕組み構築を要望いたします。
また、
避難支援マップの策定については、迅速な対応が求められる避難支援の実効性を高めるとの認識であり、実施に向けての検討を進めるとのことでした。時々、災害などがあれば国や消防が助けにきてくれるという楽観的な考えを耳にすることがあります。実際には、公的機関の公助には物理的な限界があるのは明らかです。自助・共助の連携により落ち着いて避難行動をとることができるよう、そして向こう三軒両隣の助け合いにつながるよう、
避難支援マップを活用し、身近な場所の危険性に応じた地域の避難訓練をこれまでの防災訓練のプログラムに組み入れるなど、実施に向けて早期に計画するよう要望を申し上げ、質問を終わります。
御答弁ありがとうございました。
9 ◯議長(茅根茂彦君) 以上で助川議員の質問が終わりました。
次に、伊藤智毅議員に発言を許します。
なお、質問は
分割質問分割答弁方式により行います。
10 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ ひたち未来の伊藤智毅です。
通告に従い質問を行います。簡潔で分かりやすく、前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
1、防災について。
まず、この度の台風15号の接近に対して、小川市長を先頭に、その対応に御尽力をされましたことに対し深く感謝と敬意を表します。
質問に移ります。
(1)防災における自助、共助、公助の役割と実践体制。
今回の台風接近もそうですが、頻発する自然災害や今なお収束しない原子力災害の危険性を考えると、改めて災害時や日常生活において果たすべき自助、共助、公助の役割について、ちょうど今日8年半が経つ
東日本大震災の教訓や、その後、全国各地における自然災害による甚大な被害の教訓からも、また、9日に日立市に接近した台風15号による停電や倒木などの被害やその影響、教訓からも、現時点においてどのように整理しているのか伺います。
今回、9日、午前4時35分に
警戒レベル3、避難準備・高齢者等避難開始を防災無線で発令し、その前日の午後6時には、自主避難者対応のために市内23の小中学校に避難所を開設しましたが、自助、共助、公助の役割をどのように役割分担し、実践したのかについてもお伺いします。
(2)自然災害や原子力災害に対する防災訓練の現状と課題及びその対策。
地震や津波、また
地球温暖化が原因と思われる洪水や土砂崩れなど自然災害が全国各地で頻発しており、多くの犠牲者や被害が毎年発生しております。それらは決して人ごとではなく、私たちの身に、地域に、いつ災害が起きるかもしれない状況の中、いざというときに備え、災害時に冷静な行動をとることが重要であることは言うまでもありません。自然災害や原子力災害に備え、避難訓練も含めた防災訓練の現状がどのようになっており、また、その課題をどのように認識しているのか伺います。さらに、それらの課題への対策をどのように進めていくのか伺います。
(3)避難所設営・運営における官民の役割や実地訓練及び備蓄等の実態と問題点。
2011年3月11日の大震災当日、自宅避難ができなかった1万2,900人の市民は、市内69箇所の避難所に避難を余儀なくされました。大災害時に、収容人員の関係からも全ての市民が避難所に避難できるわけではありませんが、災害時、速やかに避難所に避難することができるように、迅速な避難所の開設・運営に対して、あらかじめ官民の役割の明確化と実地訓練が必要不可欠であります。今回の台風15号における教訓からも避難所開設等の実地訓練は極めて重要だと思いますが、その実態や問題点及び今後の訓練等の実施をどう考え、また、備蓄倉庫等の備蓄品の種類や数量の検証及び適切な更新等についてどのように進めていくのか伺います。
11 ◯議長(茅根茂彦君) 伊藤智毅議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
12 ◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ 伊藤智毅議員の御質問にお答えいたします。
私からは、大きな1項目め、防災についての御質問に順次お答えいたします。
初めに、(1)防災における自助、共助、公助の役割と実践体制でございます。
国では、1時間に100ミリを超える雨が各地で頻発し、その被害が激甚化しております状況などから、このような自然災害の発生時において公助には限界があるとして、
避難勧告等に関するガイドラインの見直しを行い、一番上の
警戒レベル5が発令された状況下におきましては、まずは住民各自が命を守る最善の行動をとることとされたところでございます。
今回の台風15号の対応でございますが、8日の午後から避難所の開設準備を始め、午後6時に市内23箇所の小中学校を開設いたしました。この際、防災行政無線、ケーブルテレビなどで広報を行うとともに、要支援の方々一人一人に直接、早目の避難の呼び掛けを行ったところでございます。そして、風雨の状況を判断して、9日の午前4時にレベル3「避難準備・高齢者等避難開始」を発令し、避難を促すとともに、各
コミュニティ、民生委員にも状況を説明し、必要な際の支援を呼び掛けたところでございます。
6、子どもたちの夏休み事業について。
(1)小学校のプール開放及びラジオ体操の実態と拡充策。
まず、小学校におけるプール開放の実績と評価や課題及びこの事業の拡充策についてお聞きします。
プール開放は2011年、かねさわ市民プールが
東日本大震災で大きく被災した後、利用休止、解体となり、周辺児童の夏休みのプール利用の代替を提案、実現いたしました。今年度で8年目を迎えますが、毎年多くの児童が利用しており、今年度は三つの小学校で1,500人を超える利用者があったと聞いております。プール開放事業は、歩いて行ける身近な学校で、安全な環境の下で暑い夏休みを楽しく乗り切る教育的効果もあると思います。ほぼ全校に整備されている小学校のプールを夏休みの間、閉鎖しておくことは実にもったいない話だと思います。監視業務を担う地域の受皿組織の問題もありますが、多くの利用があるプール開放をなるべく早く全市的に展開されるよう望みます。この事業の実績と成果の検証及び全市への拡大について伺います。
また、監視業務に対して、現在はスポーツクラブに監視員の謝礼程度しか補助をしておりません。この事業を運営するための事務局運営経費を始め、備品などの購入費補助の上乗せが必要であると思いますが、どのように考えているのか伺います。
次に、ラジオ体操の取組の経過や実績とその拡充策についてお聞きします。
日立市におけるラジオ体操の取組の経過と実績はどのようになっているのか。ラジオ体操の考案者の1人である遠山喜一郎さん、ベルリンオリンピックの体操選手でありますが、日立市の水木町出身であるという、ある意味、日立市の財産という認識をより一層深めることが大切であると思います。例えば、水木町に近い大甕駅などに啓発看板等を設置することや、指導者の養成、小中学校と地域におけるラジオ体操の実施促進、全市的なラジオ体操の積極的な展開を目に見える形で、さらに具体的な数値目標も設定しながら積極的に進めてはどうでしょうか。ラジオ体操を全市的な市民運動として展開するためにも、過去2回実施したNHKの夏休み巡回ラジオ体操の誘致、指導員養成講習会の日立市開催を誘致することも含めて、今後の積極的な取組について伺います。
22 ◯教育部長(窪田康徳君) ◇登壇◇ 大きな6項目め、子どもたちの夏休み事業についての御質問にお答えいたします。
初めに、学校プール開放について、3点ございました。
1点目の事業の経緯と成果の検証についてでございます。
学校プールの開放には、小中学校全校対象の学校施設開放制度を活用して地域の様々な団体が子供たちにプール体験をさせているものと、子供たちが個人や団体で自由に利用できる小学校プール開放の二通りがございます。御質問の小学校プール開放は、
東日本大震災でかねさわ市民プール等が被災したことにより、周辺地区の小学生が水に親しむ場を確保するため平成24年度からスタートした事業でございます。今年度で開始から8年目となり、累計で9,374人、1校当たりの平均で年間400人以上の子供たちが利用しており、大変好評であることから、今後も継続してまいりたいと考えております。
2点目の実施校の拡大についてでございます。
現在は、塙山小学校、大沼小学校、滑川小学校の3校で実施しておりますが、議員御提案のとおり、より多くの子供たちが利用するためには実施校を増やすことも必要であると考えております。また、団体利用の学校施設開放では、各学校ごとに子ども会、少年団、PTAなど多くの団体が毎年子供たちにプール体験をさせております。それらの団体とも、実施校の拡大について意見交換を行いながら検討をしてまいります。
3点目の実施主体への支援についてでございます。
現在、運営を担っている総合型地域スポーツクラブには、監視や受付等に従事する方への謝礼や傷害保険料等への補助をしておりますが、プールを楽しむ子供たちの安全性の向上や、従事する方々の負担軽減等を図るため、今後も必要な人的配置や資材の購入などにより一層努めてまいります。
続きまして、ラジオ体操の実態と拡充策についてでございます。
ラジオ体操の全市的な取組といたしましては、チャレンジ・ラジオ体操がございます。チャレンジ・ラジオ体操は平成15年度から開始し、初年度は9団体、924人の参加でございましたが、今年度はおおむね3倍の約3,000人、累計で約2万3,000人の参加をいただきました。ラジオ体操は、いつでも、どこでも、誰でも手軽にできるため、子供から高齢者まで参加できる取組として推進しております。現在は、チャレンジ・ラジオ体操のほか、指導員資格の取得支援やラジオ体操取組団体等への指導員の派遣を行っているところでございます。議員御提案の指導員養成講習会や夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会の誘致につきましては、市民が正しく体操を身に付け、地域や職場での普及を図る上で非常に有効でありますので、積極的に推進してまいります。今後は、引き続き指導員資格の取得支援を推進するとともに、企業、総合型地域スポーツクラブ、
コミュニティ、子ども会、児童クラブのほか、小中学校においても更なる取組を進められるよう働き掛けてまいります。
なお、今後一層の普及促進を図るため、指導員資格の保有者数や取組団体数など、具体的な達成目標を掲げて取り組んでまいります。
以上でございます。
23 ◯22番(伊藤智毅君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
以上で伊藤智毅の一般質問を終わります。ありがとうございました。
24 ◯議長(茅根茂彦君) 以上で伊藤智毅議員の質問が終わりました。
次に、三代議員に発言を許します。
なお、質問は一問一答方式により行います。
25 ◯12番(三代勝也君) ◇登壇◇ 公明党の三代勝也です。
発言通告に従い質問いたします。御答弁よろしくお願いいたします。
大きな1番、災害に対する備えについて。
このところ災害とまで言われる異常気象が頻発しております。本年も九州北部地方や三重県等で豪雨災害が発生しております。被害に遭われた方にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復旧・復興を祈るものであります。
9月1日は防災の日であり、この日は大正12年、1923年、午前11時58分に関東大震災が発生した日であります。相模湾を
震源として発生した大地震により関東一円に被害を及ぼした災害で、マグニチュード7.9、最大震度6でありました。
また、防災の日制定のきっかけは、約5,000人が犠牲となった昭和34年、1959年9月26日に上陸した伊勢湾台風であります。暦の上でも9月1日というのは二百十日に当たる日で、台風が多い時期という言い伝えがあることも関係しています。台風発生から4日後の9月30日には中部日本災害対策本部を設置し、堤防の締め切り、湛水地域の排水、応急救助の円滑化、被害者支援、応急仮設・災害復興・災害公営住宅等の建設・補修、資材の緊急輸送などの復旧活動を一元化されました。この経験を踏まえた上で、被災から2年後の1961年11月15日、防災の概念と国の責務を明確にした災害対策基本法が制定されました。この法律により、伊勢湾台風クラスの台風がやってきても被害を最小限に食い止めるため、行政は防災対策、災害対策を求められるようになり現在に至っています。今月は防災の日に当たり、また、異常気象の現状を目の当たりにしている今、日立市の防災に対する備えの一端を伺うものであります。
(1)マイ・タイムラインについて。
2015年の関東・東北豪雨で発生した鬼怒川氾濫による常総市の大規模水害を教訓に、国土交通省などが逃げ遅れを防ぐ対策の一つとして推進し始めました。住民が自らの避難行動を事前に決めておくマイ・タイムラインが改めて注目されております。各人がとるべき行動が時系列で把握でき、徐々に危険性が高まって発生する風水害の備えに特に有効とされています。
災害発生が考えられるとき、住民が自らの意思で適切なタイミングで避難を開始することが重要です。そのための自己防衛として、国は住民一人一人が自分自身の生活環境や家族構成に合ったマイ・タイムラインづくりを進めようと呼び掛けを始めております。
ア、小中学校でのマイ・タイムライン作成について。
国土交通省関東地方整備局下館河川事務所のホームページには、小中学生向けマイ・タイムライン検討ツールとしてその教材が載っています。マイ・タイムライン作成のきっかけとなった常総市では、小中学生向けの防災学習教材「逃げキッド」を活用し、小中学生のマイ・タイムライン作成に力を入れています。関東・東北豪雨後の毎年9月、市内の全小中学校で水害を想定した一斉防災訓練を実施する中で、2017年度にはそのマイ・タイムラインの作成を取り入れ、小学校5校、中学校1校の計6校で実践を始めました。市担当者は、児童や生徒が取り組む意義について、家族で話し合うきっかけとなり各家庭の防災力向上につながると言っております。幼少期よりその地域環境を知り、そして安全に対する意識の向上は地域にとっても大切なことであると考えます。日立市においても、児童生徒に対する防災教育の一環としてマイ・タイムラインを作成することで、防災意識の向上を図ってはいかがかと思いますが、執行部の御所見をお聞かせください。御答弁よろしくお願いいたします。
26 ◯議長(茅根茂彦君) 三代議員の質問に対し、執行部からの答弁を求めます。
27 ◯教育部長(窪田康徳君) ◇登壇◇ 三代議員の御質問にお答えいたします。
学校においては、各学校の地理的条件等を踏まえた災害を想定し、事前指導、事後指導を含めた避難訓練等、教育活動全体を通して防災教育を実施しております。
東日本大震災後の平成24年度には、東小沢小学校において、久慈川を遡上する津波を想定した防災の授業を実施いたしました。授業では、避難経路や避難方法について、地域の方々の御協力もいただき、フィールドワークを行いながら検討を重ね、災害に対する危機意識を高めました。その取組の様子は、県の防災のつどいやテレビでも紹介され、高い評価を得たところでございます。このような児童生徒への質の高い防災教育の実践は、大きな災害が頻発している現在、大変重要でございます。
議員御提案の児童生徒が自ら考え作成するマイ・タイムラインは、主体的な防災意識を高めることを目的とする防災教育を進める上で極めて有効な方策であると考えます。さらに、家庭において災害発生時の家族一人一人の行動を話し合うことで各家庭の防災力の向上も期待できますので、学校の防災教育でのマイ・タイムラインの導入に向けて、先行事例も調査しつつ、学校現場と協議、調整を図ってまいります。
以上でございます。
28 ◯12番(三代勝也君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
次の質問に移ります。
イ、市民へのマイ・タイムラインの普及について。
内閣府中央防災会議・防災対策実行会議、平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループにおいて、避難対策の強化について検討され、昨年12月に報告がありました。それを踏まえ、地方公共団体が
避難勧告等の発令基準や伝達方法を改善する際の参考とするよう、避難勧告に関するガイドラインが改正され、公表されました。テレビ等でもニュースとして流れてきていましたが、
警戒レベル1から5に分かれ、そのレベルごとに住民がとるべき行動が具現化されました。
レベル1・災害への心構えを高める。レベル2・避難に備え自らの避難行動を確認する。レベル3・高齢者等は立退き避難する、その他の者は立退き避難の準備をし、自発的に避難する。レベル4・指定緊急避難場所等への立退き避難を基本とする避難行動をとる、災害が発生するおそれが極めて高い状況等になっており緊急に避難する。レベル5・既に災害が発生している状況であり、命を守るための最善の行動をとるというものです。このレベル1及び2については気象庁が発表し、災害レベル3から5については市町村が発令するものになっているようですが、レベル5は既に災害が起きているかもしれない状況であり、今回の九州地方の豪雨発生時には、このレベル5の「命を守るための最善の行動をしてください」と叫んでいるアナウンサーの声が印象的でありました。
そのためにも、時系列で個人がとる行動を確認しておくマイ・タイムラインの普及啓発によって、各人が情報を得た段階でどのように行動するのかを決めておくことで、速やかな避難行動がとれるのではないでしょうか。日立市でも災害時の逃げ遅れゼロの実現を目指し、気象予報士や自治体職員、防災士などの専門家の協力を得て、マイ・タイムラインづくりを後押しするワークショップなどの取組を展開していくべきと考えます。各
コミュニティで行われている防災訓練や各種会合等において、家族の避難体制について、家族の課題としてマイ・タイムラインを普及する好機と捉え、普及活動を行ってはと考えますが、執行部の御所見をお聞かせください。
29 ◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ お答えいたします。
近年の大雨をもたらす災害の特徴といたしまして、線状降水帯によるもの以外でも、局所的に時間雨量100ミリを超える豪雨が頻発していることが挙げられます。こうした豪雨は全国の至るところで発生しており、日立市においてもいつ発生してもおかしくない状況でございます。
議員御案内のとおり、改定された避難勧告ガイドラインに基づいて、
警戒レベル3では避難準備及び高齢者等避難開始、レベル4では避難勧告又は避難指示を市が発令し、各自が避難行動をとる、そしてレベル5に至った場合は、住民自らが命を守るための行動をとるというように、防災情報と避難行動の対応が明確化されました。これに基づいて、市民が普段から避難意識を高めていただくことが必要であると考えております。
こうした中、茨城県では平成29年度から、住民避難力強化事業として県全域でマイ・タイムラインを普及させるための講習会を順次実施しており、水害リスクの高い地域住民のマイ・タイムライン策定を通じた防災意識・避難意識の高揚に取り組んでいるところでございます。本市におきましても、県と共同でマイ・タイムライン策定に関する講習会をこれまで二度開催し、昨年度は11月に、久慈川・茂宮川流域の坂下地区、今年度は8月に、十王川流域の豊浦学区の住民に参加をいただき、マイ・タイムラインに関する知識及び策定のノウハウを習得していただきました。受講された方は、身近な危険箇所を再確認し、避難の際に役立つ行動の情報を得ることができたものと思われます。
個人が災害を回避するための指針となるマイ・タイムラインの普及はとても重要であると考えられますことから、今後は県のノウハウを用いて、河川流域の住民への更なる普及並びに受講者へのフォローアップ等のきめ細かな対応を検討するとともに、防災講演会や自主防災訓練等の機会を利用し啓発を行うことで、災害時の逃げ遅れゼロを目指してまいりたいと考えております。
以上でございます。
30 ◯12番(三代勝也君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
マイ・タイムラインについて要望を申し上げます。
今週上陸いたしました台風15号ですが、日立市でも避難所が開設されました。避難所を運営していただいた市長を始めとする職員、また地域の方に改めて御礼を申し上げます。
私は地元、久慈中学校の避難所にも行って声を聞かせていただきましたが、水が出ると嫌だからと避難所へ来られた、そういう方がおられました。早目早目の行動によって避難遅れの方が出ないよう、マイ・タイムラインを幅広い世代の方に普及していただきますよう要望をいたします。
続きまして、(2)避難所への液体ミルクの備蓄について。
厚生労働省は、乳児用液体ミルクの製造販売を可能にする規格基準を定めた改正省令を施行しました。このことにより、国内企業が液体ミルクの製造販売ができるようになり、本年3月より販売が開始されました。液体ミルクは常温で保存できることが特徴の一つであり、粉ミルクのようにお湯に溶かしたり、哺乳瓶の洗浄や消毒をする必要がなく、海外では広く利用されております。今後普及すれば、夜中や外出時も授乳が格段に容易になり、親にとっても、また孫育てに奮闘する祖父母にとっても朗報であります。さらには、清潔な水や燃料の確保が難しい災害時に、赤ちゃんの命をつなぐ栄養源となる乳児用液体ミルクは貴重であります。
実際、
東日本大震災や熊本地震では、フィンランド製品が救援物資として被災地に届けられ、母親らから歓迎されたそうです。ただ、日本では今まで液体ミルクの認識がなく、支給された被災地において、支給された実績がない、使用された実績がないということで使われずに廃棄されてしまった事例もあるようです。国産液体ミルクが製造の認可を受け、市販された今から理解が深まっていくものと考えます。
災害時の避難所において、乳児のミルクの準備は大きな課題であると認識しております。非常時の際は、水やお湯の用意ができない場合もあります。また、授乳時の母乳を与えるスペースの確保についても十分になされない状況もあると考えられます。本年春より国産の液体ミルクの販売が開始されました。備蓄品目にと、県内近隣自治体の水戸市や高萩市等においても検討をされているようです。日立市においても、乳幼児の命をつなぐ液体ミルクについて、有事の際の備蓄品目に是非とも加えてはと考えますが、執行部の御所見をお伺いいたします。
31 ◯総務部長(國井 茂君) ◇登壇◇ お答えいたします。
災害時、避難先における乳児への授乳手段の確保は大変重要であると認識しております。市におきましては、福島第一原子力発電所事故の際、浄水場における水道水検査により乳児向け飲用基準を上回る放射性物質が検出されたため、乳児対象に、ミルク用飲料水を一人当たりペットボトル4リットル分、合わせて3,000人分を提供した経緯がございます。
議員御案内の液体ミルクでございますが、平成30年の厚生労働省令の改正後、国内製造が解禁され、本年3月から販売が開始されたところでございます。これに伴い液体ミルクの認知も高まっており、備蓄を始めている自治体も出てきております。
この液体ミルクは、災害発生時に乳児が栄養摂取できる有効な備蓄品であると認識しておりますが、一方で、毎回授乳を行うための清潔な哺乳瓶の確保や、液体のミルクの保存年限は現状では1年であることなど、実際の活用につきましては検討すべき課題もあるものと考えております。したがいまして、液体ミルクの備蓄につきましては、乳児に安心して提供ができるよう先行事例を調査し、検討していきたいと考えております。
以上でございます。
32 ◯12番(三代勝也君) ◇登壇◇ 御答弁ありがとうございました。
次の質問に移ります。
大きな2番、子育て支援について。
(1)所得基準額を超えるひとり親への支援について。
あるひとり親世帯の方から御意見をいただきました。その方は高校生と中学生の親御さんで、お勤めをされています。将来の子供たちの行く末を心配し、本人たちの望むことをできる限りさせてあげたいと仕事に頑張っておられます。その頑張りで更に責任の重い仕事をするようになり、帰りが遅くなることが多く、子供たちに負担をかけてしまうことにも申し訳なく感じておられました。頑張って仕事をされていてそれなりの収入はあるとしても、子供にかかる費用又は生活費については、当然それなりの負担はかかるものと考えます。
子育ては親だけが行うものではなく、地域や行政が関わっていくものであると思います。しかしながら、ひとり親世帯に対する医療の助成については、まだまだ考えられていないのが現状ではないでしょうか。その方は、子供たちの世話のことが心配でもあるけれど、自らの医療にかかる費用も心配で、これ以上負担が増えていくことも怖くてたまらないと言います。
茨城県では、2016年10月に小児及び妊産婦のマル福の所得制限が緩和されました。子供たち、そして新しい命と向かい合っている方への助成が充実していく中で、ひとり親として子育てを担っている方への助成を考えていくことも重要なことだと考えます。
茨城県内においては2箇所、所得制限を設けない自治体があると伺いました。万が一の際、自分が病気になってしまったら子供たちの生活に影響が及ぶことに悩みながら、病院で受診することをちゅうちょされている親御さんがいることを御理解ください。そして、そういった方を一人でもなくすために、日立市においても、ひとり親についてマル福の所得基準額を緩和されてはと考えますが、執行部の御所見をお伺いいたします。
33 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ お答えいたします。
医療福祉費支給制度、通称マル福は、御質問の母子・父子のひとり親家庭の親子のほか、小児、妊産婦、重度心身障害者の方の健康の保持増進と福祉の向上を図るため、医療機関等において保険診療を受けた場合に、負担しなければならない費用の一部を県と市が助成するものでございます。本市におきましては、この県の制度に基づくマル福に上乗せする形で、市の単独事業として、小児と重度心身障害者を対象に更なる負担軽減を図ってまいりました。
御質問の母子・父子のひとり親家庭の親子のマル福につきましては、配偶者のないひとり親の方とそのお子さんを対象として実施しております。受給要件の中で所得基準が設けられており、親御さんの所得が基準額を超えた場合には、高校生相当までのお子さんや一定の障害のある20歳未満のお子さんは、それぞれ小児や重度心身障害者のマル福の対象となりますが、その親御さんは対象外となっております。
本市の状況につきましては、本年7月の時点で、母子・父子のひとり親家庭のマル福を申請されたひとり親の方は1,580人で、その97%の1,531人の方が所得基準額内でマル福の対象となっております。残る49人の方が所得基準額を超えマル福の対象外となっておりますが、県内では、桜川市と神栖市におきまして市単独事業として、この制度を拡充している状況でございます。
議員御質問の母子・父子のひとり親家庭に対する所得基準額の緩和につきましては、切れ目のない子育て支援の視点から、妊産婦、小児、重度心身障害者も含めたマル福制度全体のニーズを把握し、県や他市町村の動向を注視しながら検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
34 ◯12番(三代勝也君) ◇登壇◇ 次の質問に移ります。
(2)駅前こどもステーションを活用した待機児童の解消について。
少子化が叫ばれ、長い年月が経っています。子育てについての環境は、その地域の人口増減を大きく左右するものであると考えます。待機児童の状況は、年度当初は新規募集をかける時期でもあることから少ない、しかし時間が経つにつれて、入園させたくてもできない待機児童が増える傾向であるようです。
ここで一つの事例を申し上げます。県内の龍ケ崎市では、次のような取組をされています。それは、通勤時間等の関係で保育園等へのバス送迎を行う送迎ステーションと、子育て相談や情報の提供、親子が集える交流の場を提供する子育て支援センターの二つの機能を持つ子育て支援施設「駅前こどもステーション」を開始しました。主に都心方向へ通勤される方が利用しているようです。子供を預けて仕事をしたい保護者の方にとっては、このような送迎といった形式の施策は有効なのではないかと考えます。
今回の質問となった提案は、正にもうすぐお子さんが産まれる妊婦さんからの声でもあります。駅を利用した施設は、JR常磐線の駅を5箇所抱える当市とでは状況が違うとは思いますが、核となる場所にこどもステーションを設けて、預ける施設への連絡手段をつくってみてはいかがかと提案をいたします。お迎えについては、可能であれば通勤の帰りに保護者に寄ってもらえるようなことも考えられるかと思います。このような施策を実施することにより、待機児童の解消及び保護者の負担軽減につながるのではないかと思いますが、執行部の御所見をお聞かせください。
35 ◯保健福祉部長(鈴木さつき君) ◇登壇◇ お答えいたします。
本市の保育園の入園希望者につきましては年々増加しておりますが、私立園の御協力もいただきまして、昨年度に引き続き、今年度当初も待機児童ゼロでスタートすることができました。しかし、1年間の育児休業明けを区切りに復帰を希望される方などが多く、月を追うごとに入園希望者が増え、本年9月1日現在では、ゼロ歳から2歳児を中心に18人の待機児童が生じている状況でございます。地区別に見ますと、北部地区で2人、本庁地区で7人、多賀地区で6人、南部地区で3人となっております。例年、待機児童数は前年度末に向かうに従い増加する傾向にございまして、本年3月1日の状況では30人でございました。